お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2011年6月17日

ウインウッドとクラプトン 2007

Crossroads Guitar Festival 2007 (DVD)



2007年7月にアメリカはシカゴで催されたギターの名人ばかりを集めたコンサート「クロスロード・ギター・フェスティバル」の実況録画です。お昼前から夜まで続くたいへんなお祭りだったようです。(amazonを見るとこのコンサートは2004年とか2010年のライブ盤もありますが、これは「2007」です。)イギリス盤のDVD2枚組を買ったのが16日に届きました。

CDも出ていますが、これはぜったいDVDがいいと思います。第一に(私の場合ですが)、名人ぞろいといっても知らない人が多いので、顔を見ながら聞いたほうがわかりやすいからです。第二に(これが重要ですが)、CDの音だけではわかりえないことが沢山ありました。小さな出来事、ミュージシャン達の表情や仕草や服装などなど。また舞台裏の様子とインタビューもたくさん入っています。

1枚目は司会者の予想外のイントロに始まります(クラプトンは遅刻したんでしょうか?)。60年代には長身で痩せてて病気がちであった白っ子のジョニー・ウインターが、骨と皮みたいな小さな小さなおじいさんになって座って演奏するのとか、ブヨブヨのキングサイズのBBキングが座って演奏するのとか、カントリー系の男女などが登場して、私は最初の Sonny Landreth がいいと思いましたが、私が聞きたいのは勿論2枚目です。

最初が John Mayer というすごく上手い弾き手の、若いもんならではの勢いのあるテク大全開。アルバムを聴いてみたくなるなあと思う暇もあらばこそ、次に「ロス・ロボース!」という紹介と共にやけに場慣れしたおじさんが登場しました。続いて他のおじさん達もゾロゾロと出そろうと、いきなりラテン系の一糸乱れぬ完全な演奏を繰り広げるではありませんか。首がないくらい太っちょなおじさんの切れのよい素晴らしい声、バンドの あまりのノリの良さに夢中で聞き入ってしまいます。Terrific!でございます。するとカメラはなんと舞台の裾に来て聞いているウインウッドの姿をとらえているじゃありませんか! 私も聞く耳を持っているなあと思いました。

Lo Lobos: Mas Y Mas

実はこのYouTubeの動画は上手に編集してあって、演奏も所々のべ2分はしょっています。

顎でリズムを刻みながら Los Lobos を見ているウインウッド。上の動画では切られてます。

その次がジェフ・ベックなのですが、ジェフ・ベックといえば1960年代の、ちょっと膝のすり切れたブルージーンズというイメージがあります。40年近くを経て、同じヘアスタイルに両腕を出した黒のチョッキという変わらないロッカーのいでたちでありました。今でもライブをやっているのかしらと思ってしまう若い人ばかりのドラムとベースとキーボードの四人組です。私はこの人の曲をほとんど聞いたことがないのですが、甲子園のピッチャーみたいに右手が粉で真っ白です。最初ギターを弾く手があまりなめらかではない気がしましたが、しだいに凄いことになっていくのでした。しかし問題はベーシストで、実の娘より若いのじゃないかと思う女の子で、ジャジーなすごい演奏を聞かせるのですが……Tシャツにノーブラで乳首が出てるよお。しかもベースを高く持っているから、やだなあ…… あれ? ブラしてるのかなあ。

そのあとがクラプトンです。ジェフ・ベックはクラプトンの前座ですか? かつては三大ギタリストと呼ばれていたのに。(エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、あと誰でしたっけ。ジミー・ペイジ? クラプトンが「スロー・ハンド」ならベックは「スティール・ハンド」と呼ばれていて、山下洋輔が「物を盗むんですか?」と言って笑わせてくれたものです。今の日本じゃ「ベック」といったら水島ヒロですかネ……?)

クラプトンは別に聞かなくてもいいので4曲とばすとウインウッドが登場します。すごい歓声。そこで私は「なぞの絨毯」を発見しました。後ろ上方から映したときだけわかるのですが、ステージ中央にはなぜかペルシャ風の絨毯が敷いてあります。(DVDの1枚目にはありませんでしたよ。下の写真のとおり、Los Lobosのときもありません。)そしてクラプトンは絨毯の真ん中で弾き、というかクラプトンのマイクがそこにあるのです。ウインウッドは絨毯の外。それって何かすごく変です。何なんでしょう???



二人の演奏は「Presence Of The Lord」から始まります。この1曲のためにウインウッドはあの木の年代物のオルガンを持ってきたのでしょうか。(メインテナンスが大変でしょうね。他の人も弾いていましたが。)最初はクラプトンが歌い、次からはかつてのレコードのとおりウインウッドが歌います。しかし作者であるクラプトンの自己主張なのか、途中から一緒に歌い始めて台無しにしてしまいます。続いて「Can't Find My Way Home」と「Had To Cry Today」です。YouTubeで見られるとおりです。


「Can't Find My Way Home」でギターを弾くウインウッドがクラプトンを窺うのですが(目と目で交信しているのかもしれません)、その表情にびっくりしました。まるで子供の目なのですね。なにかもう感覚だけのウルトラ・ピュア状態で頭が空っぽみたいな感じです。この人にとって音楽とはこういうものなのかと初めて知った気がしました。

そのあとクラプトンはギターを置いてステージを去ってしまい、ウインウッドのソロになります。徐ろに始まるのは「Mr. Fantasy」でした。いかにもウインウッドはトラフィックであり、トラフィックとは Mr. Fantasy なのですね。(80年代にあれだけ全米第1位のヒットを飛ばしていても、そんなのは黄金時代ではなく、そんなのが代表曲であるわけないのです。シンセサイザーの時代にはギターの名曲を作らなかっただけ、とでも?)

Dear Mr. Fantasy play us a tune
Something to make us all happy
Do anything take us out of this gloom
Sing a song, play guitar
Make it snappy

You are the one who can make us all laugh
But doing that you break out in tears
Please don't be sad if it was a straight mind you had
We wouldn't have known you all these years

再びクラプトンが戻ってきて皆で「Crossroads」です。60年代のクリームは大人っぽくてカッコよかった……。ウインウッドとクラプトンが去った後に現れるのはバディー・ガイなるおじさんで、いや〜、これまた凄い。

Buddy Guy: Mary Had A Little Lamb


このおじさんの歌はウインウッドより上手い? ギターはクラプトンより上手い? 私にはわかりません。ただ「さっきまでのは何だったの?」と思いました。こういう人の歌(と演奏)を聞くと、60年代の若いミュージシャン達が何に憧れたのか、努力して努力して大ヒットを飛ばし大スターになり、名声や富を得ても、やっぱり手に入れられなかったのは何か、そういうことを思わずにいられません。彼らは凄い。でも彼らが心の底からやりたかったことに対して、この黒人のおじさんは? まるで事も無げに歌を歌いギターを弾くバディー・ガイ。黒人ブルーズの底力。でも、黒人になれなかったからこそ彼らはロックを作り上げたのでした。思えばウインウッドもクラプトンもロックの歴史そのもの。いや〜このDVD、堪能しました。さいこーっ!

このフェスティバルは舞台のデザインも気が利いています。YouTubeではよくわかりませんでしたが、背景の横縞はネオン管を並べたものです。簡素で昼間も夜もきれいで、舞台裏も同様なんですからしゃれています。ついでにディスクをよく見たら、2枚目の写真はウインウッドとクラプトンのメンバーじゃありませんか(傷だらけのギターとペパーミントにミルクを注いだようなきれいな色のギターです)。へーえ……。(イギリスのアマゾンで「Live From Madison Square Garden」とふたつで31.92ポンドでした。)

(winwood) (traffic) (crossroad guitar festival)

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