お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2009年1月18日

26年前のニット


新年そうそう彫刻家の友人からパーティーのお知らせが届きました。結婚のお祝いですが、いわゆる結婚披露宴ではなく、主催は彼のアート仲間です。これは、以上の条件で「何を着るか」についてだけの話です。

美術家や古い友人達が中心のお祝いですからカジュアルな雰囲気であろうと踏みました。会場は都心のちょっと意外な洒落た場所。きちんとしたよそ行きはもうデブって着られませんが、どのみち絹やビロードやエナメルのパンプスよりも遊び着。色がきれいで少し派手めのニットがいいのじゃないか、と。しかし手持ちで適当なものが思い浮かびません。パイユドールに行けば何か素敵なものがあるんじゃないか、デパートもセールの真最中のはず…………そう思うのですが、いま一つお買物に挑むパワーを欠き、家事や勉強ばかりしているうちに日が迫ってきました。

前々日になって大昔に買ったルーマニアの刺繍のすごいブラウスを思い出し、めったに着ない衣類の箪笥をあけました。ところが記憶違いかブラウスはなく、代わりに去年中華街で買ったピンクのシルクの刺繍のジャケットと、ブラウスと同じくらい大昔のニットのワンピースがありました。中華風のジャケットは華やかでこういう機会にぴったりですが、組み合わせが今ひとつ上手くいきません。かたやニットは二十代のときのもの。多分26年くらいたつのにとてもきれいな状態で、そのまま着て出られそうです。模様は単純ですが総編込みで意外と凝った糸を使っており、ラメも少々入っています。あまり古びた感じがしないし、間違いなくブラウスよりあたたかいし、これに決めました。

コート下にも便利で当時はよく着ました。たいてい黒のストッキングに黒のパンプス、きれいなローズ色の巾着みたいなバッグを組み合わせていました。今では丸首の襟ぐりと袖口のゴム編みが細くてちょっと貧弱なので下に黒のタートルネックを重ね、袖もわざとニットの袖より出して着ることにしました。膝小僧が出る丈ですから黒のスパッツとお気に入りの黒のスエードのブーツを組み合わせれば、今年風ではなかろうか? 黒がメインになるのは不本意ですが無難ではあります。

黒のスパッツはどこでも売っていますから、前日近所のスーパーに行きました。するとかぶりやすそうな黒い模様編みの小さいニット帽が半額だったので一緒に買いました。去年パイユドールで買った紫色のコットンのニット帽をかぶるつもりでしたが、合わせてみるとこの黒のほうがしっくりまとまるようでした。合計3000円弱。なんだかたいへん安上がり。

パーティー当日は家でぐずぐずしたり道を間違えたり、少し遅れて会場に着くともうスピーチが始まっていました。あたりは暗くて、スーツ姿の「おじさん」の後ろ姿がいっぱい。少し中へ進み友達を探して見回すと、近くには和服のご婦人も…………。アチャー、失敗かと思いました。しかし明かりがつくと、実にいろいろな装いにあふれていました。集まったのは140人。かわいらしいドレス、アートなストール、きれいなニット、変わったブラウス、不思議な組み合わせの重ね着、等々。やっぱり「何でもあり」でした! 素晴らしいのは、知っている人も知らない人も誰もがその人らしい雰囲気で、ぴったりなこと。やっぱりアート系は大好き。無論私の装いは最高ではありませんが、奇妙なもので「26年前の服」ということに自信を感じました。私も私らしかった…………かも。(1月17日)

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