お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2009年1月28日

キルト展で有田焼 2


キルト展の帰り、珍しく朝から行動したために疲れて地下鉄で居眠りしてしまいました。膝に載せていた大荷物の一つがゴトンと床に落ちて気づいたのですが、落としたのは有田焼の入っている袋でした。でも念入りに梱包してあるから大丈夫と思いつつ、帰宅して開いていくと…………いちばん迷っていちばんフンパツした小鉢が割れていました。とても滑らかで手に持った感触や丸みがよくて、染め付けも手書きで、裏側もきれいな模様が入っていて…………1つだけ買ったのですが、直系8センチほどで1500円、値引きしないほうの商品だったのに。ああ〜、残念です。一度も使わないで割ったなんて。アロンアルファでくっつけて小物入れにならないかと考えています。(1月20日)

2009年1月27日

「ならず者の経済学」


ならず者の経済学——世界を大恐慌にひきずり込んだのは誰か
ロレッタ・ナポレオーニ著、田村源二訳
徳間書店/2008年11月刊/1800円

「経済学」というものの、普通に「ノンフィクション」です。書き出しはこう。

1990年代、デモクラシーという名のウイルスが全世界に広がった。この「自由をばらまく病原体」はソ連崩壊によって解き放たれたもので、その後10年のうちに、世界の民主主義国家の数は69から108に増えた。何十年にもわたって民主主義という病にかからないよう予防接種を受けてきた何百万人もの人々が(中略)こぞって、ついにそのウイルスに感染してしまったのだ。
(読み始めたばかりですが、面白そうです。)歴史的に時代の大転換=政治が経済を制御できなくなった時には「ならず者の経済」が興隆してきたし、今はまさにその時にあるという視点で書かれたもの。冷戦の終わり+グローバル化の世界で「ならず者」達が「大活躍=大もうけ」する一方で、世界中の普通の人々がいかに悲惨に目に遭っているか。しかしお金持ちの先進国が貧乏な後進国から絞り取ることや暗躍するギャングの話にとどまらない所が白眉です。アメリカが破産すること、日本がマグロを食うこと、中国がマンホールの蓋を盗むこと、政治が大衆を怖がらせること…………「ならず者」が私達の身近にあることと、私達じしんの問題として考えるべき素材をたくさん提示します。

最後は「『ならず者経済』に対抗するイスラム金融」という章で、著者は欧米が主導してきた(そして破綻した)資本主義が学ぶべき点を指摘しているようです。この章を先に読みたくなります。イスラム金融は利息を取ることを禁じたイスラム法に則って工夫に工夫を重ねたたやり方で行なわれているのですが、イスラム人口10億人の中で近年急速に発展しているというのです。今の経済危機を語るとき、しばしば「マネー」の別のあり方が議論されます。その一つにかつてNHKの番組でミヒャエル・エンデが提唱したような「地域マネー」があります。しかしこの本を読むと所詮は旧ソ連の「ルーブル」が小さくなっただけに見えます。(地域の外では旧来の銀行の仕組みを必要とするからです。)このブログでも引用した動画の「Money as Debt/お金=借金」を見ると、経済が永遠に成長しなければ成立しないような仕組みになっている原因は「銀行の利息」なのかも?と思い始めています。イスラム金融ではその利息がないのですから、とても興味をおぼえます。(1月24日)

● NHK/BS特集「エンデの遺言」 1999年放送(直接関係ありませんが上で引用したのでリンクしておきます。)

2009年1月26日

「東京『夜』散歩」


東京「夜」散歩——奇所、名所、懐所の「暗闇伝説」
中野純著
講談社/2008年11月/1400円

<腰巻き>闇からの凝視、それは本当の世界と向き合うための数少ない方法の一つだ。本書は未知の東京と出会うためのコンパスである。

近年「散歩」は流行りのようで、テレビはもとより散歩雑誌や散歩本がたくさんあります。しかしこの本は夜中の散歩です。実況みたいにいろんなことが書いてあります。(巻頭にカラー写真数点、本文随所に白黒写真あり。)

アントニオーニの「欲望」を見たときから深夜の公園に興味がありました。とはいえ近所の公園でもなかなか一人で見物に行けません。(一応ぶっそうです。)そうえいば、バブル時代は毎日深夜まで働き、帰りのタクシーの電話がつながるのも一苦労で、せっかちだった私は赤坂から恵比寿までよく歩いて帰りました。1時間くらいでしたから。でも所詮は通勤路。お散歩気分で周囲に興味を持つことはありませんでした。今では最寄駅から家まで、家からコンビニまでの間なら夜中に歩くこともあります。でも本当はこんなにたくさんの夜中があるのですね。誰もが往来しているのに実際には行くことのない場所は不思議な感じです。(1月24日)

2009年1月25日

ピロスマニ、いいよね!


今日の日曜美術館はピロスマニでした。

私がこの画家を知ったのは80年代? 映画「ピロスマニ」が公開されたときです。その頃はよく映画を見ましたが、これは姉から切符をもらって何も知らずに(たしか岩波ホールへ)見に行ったように記憶します。美しい映画でした。その後西武美術館あたりで日の過ぎた大判のカレンダーを買ったのですが…………どこへ行ったやら。ええと、あの部屋の段ボールを積み上げた、あそこのあたりだったような………… (たくさん物を持っていても、正しく飾ったりしまったりする空間と管理の能力がないとこうなってしまいます。)

何か見てみたくなりアマゾンを検索しました。するとあの映画のDVDがありました。しかしマーケットプレース(中古)が1点のみで、値段は4万8000円。ふざけてます。

● Niko Pirosmani ピロスマニについてのサイト。画家について、グルジアについて。なにより絵をたくさんあります。
● Google上のピロスマニの画像 アルファベットで検索するほうがいい絵が出てきました。
● Niko Pirosmannashvili YouTubeでもいろいろ見れます。

話題が動物の絵に移ると思いがけず三沢厚彦が登場しました。(木彫で動物の実物大ばかり作る人です。)他のことをしながらだったので、お話がよく聞こえなかったのが残念です。



私がこうした「素朴派」(と呼ばれるような種類)の絵にひかれるのは「写実性」ゆえだと思います。アカデミックな訓練を受けた人には描き得ない写実性。いわゆる「本物のようだ」「写真のようだ」という写実ではなく、もっと本質的な「存在」を浮き上がらせるような。前はピロスマニの動物には人物ほど関心がありませんでした。ところが番組でキリンの絵を見たとき、鋭い目の輝きに驚きました。キリンの生々しい生命の凝視が迫ってきます。

有名になったときもあり、どこかで言ったそうです。「大きな木の家を建てましょう。そこで皆でお茶を飲み、芸術を語り合いましょう。」でも55歳で没するまで貧しく孤独。でも最期のときは訪ねてきた友達が病院へ連れていったのです。映画のシーンを思い出しました。農家に生まれ生きものの生命に近く育ち、絵具箱一つで生きた画家。古い共同体の社会には、宮台が言うような「包摂性」があるだけでなく、そうした社会しか生みえない「絵」があると思いました。

3月20日に埼玉県立近代美術館で「ピロスマニ」を2回上映の予定。見たいっ! 先着100名?! 
● 埼玉県立近代美術館 展覧会案内のページ

パキスタン

Truth About Pakistan(パキスタン——ひろがる地平)


(20秒くらい字幕が出ます。字が小さくてボケてて、読めるところをつなぐと「いろいろあるけれど、本当のパキスタンは豊かな歴史と文化をもち、同時にあなたが思うより現代的なのよ」というような感じでしょうか。)とてもきれいなビデオです。音もハイファイ。(私、最初の曲を最後まで聞きたいんですけど。)パキスタンのポップスもいいかも!

オバマ大統領は就任して最初に「グアンタナモ収容所」を閉鎖する大統領令を出し、世界はアメリカの新しい政権のはじまりを報じました。就任3日目の23日、オバマ大統領はパキスタンへのミサイル攻撃を命令し、少なくとも市民15人(修正:子供3人を含む20人以上)を殺害しました。いったいいつパキスタンに宣戦布告したのでしょう。実は前からアフガニスタンから国境侵犯しパキスタン人(トライバル・エリアのパシュトゥーン人)を殺してきたそうです。(ブッシュ政権を踏襲してるということです。)

BBCニュース 2008年9月4日(同日投稿)


Tariq Ali: Barack Obama's disastrous plans for Afganistan and Pakistan
タリク・アリからオバマ上院議員へ(2008年9月12日投稿)


● The REAL Reason the U.S. Wants to Invade Pakistan (uncut version)(2008年9月4日投稿)
● 暗いニュースリンク 1月24日
● マスコミに載らない海外記事 1月25日

「グリーン・ニューディール」で500万人の雇用創出ですって!? それが本気だとしても、とうぶん石油が必要なのは誰が大統領になっても同じ。911の公式見解を見直さないなら誰でもブッシュと同じ。金融で失敗したから戦争は三度おいしそう。アフガニスタンにリキを入れてパキスタンを潰せばカスピ海油田のパイプラインは自分のもの。核保有国のパキスタンを相手に、どんな口実を作るでしょう。ただいま考え中。

US missile strikes in Pakistan which reportedly killed 15 early Friday morning 
1月23日 ホワイトハウス記者会見/広報はつらいよ(2009年1月23日投稿)


● ↑ 上の動画は削除されましたが、同じものはこちら Gibbs won't answer question on Pakistan airstrike; posted on Jan 23.(2月7日追記)

2009年1月23日

高岩仁監督・映画上映会

高岩さんの映画上映会があるそうです。それが…………「追悼上映会」。1年前に亡くなったのですね。


ベンジャミン・フルフォードの講演会の受付に置いてあったビラを手に取ったとき知りました。とまれ上映会の予定を転載します。

     高岩監督ありがとう!映画祭
日時: 2009年1月29日(木) 
    開場 午後2:30/開演 午後3:00
場所: 国立オリンピック記念青少年総合センター 
    カルチャー棟小ホール
参加費:会員:2000円/学生会員:1000円(当日でも会員になれます)
    一般:3000円/学生:2000円

<上映作品とスケジュール>
3:00「戦争案内」(70分) 
4:30「教えられなかった戦争 フィリピン編」(112分)
6:45 高岩監督作品の制作裏話(西浦昭英さん)(30分)
7:15「教えられなかった戦争 第二の侵略——開発・投資・派兵 フィリピン」(87分)
● 上映会のビラはここにあります(PDFファイル)高岩さんのプロフィール、作品の紹介、会場案内、主催者についてはビラをご参照ください。


今は昔、学生時代から就職してしばらくの頃まで、ドキュメンタリー映画の監督達と交流がありました。1980年をはさんだ何年かです。高岩さんは私が親しくしてもらっていた監督(滝沢さん)のお仲間で、何度かお会いしたことがあります。六本木の集合住宅内に作った共同の編集スタジオで制作中の映画のラッシュを見たり、四谷の、映画や放送関係者が過去のテレビ番組を見ることができる施設へ連れていってもらったときだったと思います。ちょうど「朝鮮通信使」が完成した頃。『文部省特選』がとれたと皆で喜んでいました。(「特選」か「推薦」かでその後の営業が大違いだったからです。)ひと仕事終えれば一杯やりました。高岩さんが東ドイツを取材したときの体験を、ちょっと自慢気に披露したのを思い出します。今思えば40代のおじさん達。そこにお酒も飲めないカチカチ頭でトンチンカンな二十代の私がいて、いろんな話を聞かせてもらいました。

その頃の私はそこらじゅうに溢れるアメリカ文化とはまったく違うソ連/帝政ロシアと東欧の文化にとても興味があって、あれこれ調べたり小説なども探しては読んでいました。しかしマルクス主義とか共産主義とか、政治だの経済だの、わかろうとしてもなかなかわかりませんから、高岩さんのような気骨ある左翼を目の前にすると、何か教えてもらおうと機会をうかがっていたものです。あるときどういう流れだったか、私がパステルナークがノーベル文学賞を辞退した話を持ち出すと、あっさり「あれは西側の宣伝だから」と言いました。そんなことを聞くのは初めてでしたからとても驚き、その後ずいぶん長くその意味を考えました。(今では簡単なことですけどネ。)こうして書くと何でもない話に聞こえるでしょうが、長く物事を考えるきっかけを与えてくれる言葉とはとてもありがたいものなのです。

高岩さんは東映で映画の仕事をしていましたが、有名な労使紛争で辞めてからはドキュメンタリー映画を作り、じみーな社会問題に取り組んだのでした。また作家・檀一雄とは異父兄弟で、姪にあたる檀ふみの芸能界入りに影響があったといわれます。最後に会ったのはたぶん1981年、日比谷図書館でした。地下の食堂でお昼を食べて上がってきたら偶然お見かけしたのです。でも私は職場に戻らねばならず、あちらもお仕事があったでしょうし、挨拶しただけでした。

こうした交流を通じて私が教わったのは「知ること」の重要さです。これは滝沢さんにした質問ですが、土本典昭の「不知火海」を見た後に「こういう映画を見るとどうしていいのかわからなくなる」と言いました。つまり私はこの映画に胸を打たれ、自分も何かしなきゃいけない気がしてじっとしていられなくなる。でももしこの問題に関わっても、別の問題を知ったらまたじっとしていられなくなるだろう。もっと重大な問題を知るかもしれない。でも一人であれもこれも出来ない。それなら、どうしてこの映画を見るのだろう?…………というような。すると映画を作る立場から「我々は知ってもらえればいいのだ」「知れば変わるから」と言いました。

それは何か、拍子抜けするような返事でした。知ったことをどうすればいいのかときいているのに。たとえば上映会の出口で「よくぞ理解した。一緒に闘おう。さあここに署名するのだ。来週はデモ行進だ」と言われるなら、参加するのか断るのか、ずっとわかりやすいのに…………。でも30年たち、今はわかります。緊急な問題提起は別として、真面目な映画ほど見る人にそんな単純な行動を求めていないのです。一つを知り、考え、それを糸口に一人一人が関心をもって更にいろいろなことを知って考え、少しずつ視野を広げること。そうすれば実際に、日々の生活の中から判断や選択が変わっていくものなのです。何が良いことか、何がつまらないか、何が問題かがわかるようになります。(厳密に言うならわかっていないかもしれませんが、少なくともその時点での自分の意志を持つことができます。)行動したいならむしろそれから。大切なのは何が起こっているかに気づく目や、知ろうとすること、自分で正しいと思うことを選択する力を持つことで、それは凡人にとってほとんど一生の仕事です。でもそのほうがいい。と私は思います。

人に本当にわかってもらうには時間がかかる——でもそのつもりで、たぶん高岩さんも映画を作ったのだと思います。その後のソ連の崩壊、冷戦終結、それからのアメリカ、あの時代をどう見てきたのでしょう。今回上映されるのは1995年、2002年、2006年制作のものです。こうして作品を見る機会が来るとは思いませんでした。戦争もののドキュメンタリー3本立はいささか重いのですが、ぜひ見に行こうと思います。

2009年1月22日

なんでも笑い飛ばす方法 (on Inauguration)

アメリカの大統領就任式について、時事ネタお笑い番組のハイライトをつなげたもの。登場するのはジェイ・レノ、知らない人、ジョン・スチュアートの3人。アメリカ大統領ネタが続くのもナニですが、あまりにもオカシかったので。

Making Fun of the Barack Obama Inauguration Speech


● Daily Show「2009年チェンジ祭/オバマ就任演説」 上のビデオの後半にある演説部分の元のビデオ(1月20日放送)。オバマの演説に興味のある人は必見です。
● 1月20日放送のDaily Showを全部見るにはこちら。Daily Show, full episode

Daily Showは本格的なニュース番組の体裁で、ちゃんと特派員を現場に送ってリポートしたり、面白さ倍増です。その日のうちにこういう番組を作れる人達って、いったいどんな頭脳をしているんでしょう。Daily Showは日本のCNNでは週1回の放送、ジェイ・レノのTonightも一時CNBCでやっていましたが、本当はその名のとおり毎日放送しているのです。この調子で毎日?! 驚きです。そして、夜の番組を集めて編集して翌日にはYouTubeにアップしてしまう人もすごいと思います。(追記:土曜日の午後CNNをつけたら今でもDaily Showをやっていました。)

下のビデオは21日放送のもので、就任式の生中継をメディアはどう行なったか。CNNはこの日のための奇をてらった新技術のてんこ盛り。いっぽうブッシュ政権とともに発展したともいえるFOX Newsは…………。

「大統領就任式/メディア報道」(1月21日放送)



● このブログ内の関連記事検索キーワード:オバマ、大統領選

2009年1月21日

1月20日のアメリカ、21日の日本


1月20日、アメリカでは新大統領の就任式がありました。上はその日のダウ平均株価。チャートのまん中あたりが式や演説の時間にあたりますが、何事もなかったように…………あるいは何事もなかったために?…………クロージングベルが鳴ったときには332ドル下がって8000ドル割れ。特徴として金融株全般が下落。

私は暇にまかせて夜更かしして、BSやCNNの生中継を見ながらYahooでシティグループとバンクオブアメリカの株価+それぞれの横にくっついているBBSを見ていたのですが、同じ国とは思えませんでしたよ。(あたりまえ。)4年に1度のお祭ですから、中継がいいことばかり言って盛り上げるのはわかります。BBSでは(株屋の集まりで、常にすごい数の投稿があるのですが)「オバマで良くなる」という数と同じかそれ以上(といっても10に満たない数ですが)「ブッシュを連れ戻してくれ」というタイトルのカキコを見ました。「シティに25万ドルつぎ込んでスッカラカン、妻に逃げられ、今はバンで犬と暮らしている」というカキコへは励ましと並んで「犬を売ってシティを買って下げ止まりに貢献しろ」「シティで無利子のローンを組んでまたシティに投資しなよ」「自分は150万ドル損した」等々返信の数々。「ミシェルの服装はひどすぎる」「あれではオバマは宣誓したことにならない」…………あるいは「ユダヤ人がこの国を滅ぼした」というカキコにはたちまち23のレスが付き、あとでゆっくり読もうと思ったら削除されちゃっていて。まあ、いろいろ面白いのでした。(下はそのcitigroupが2ドル台に突入した1月20日と1月20日までの1年間のチャート。)(上の図は下の図の一番右端10分の1ミリにあたります。)



日本のメディアがとりあげるのは涙を流して喜んでいる黒人ばかり。(人種にかかわらず支持者は喜んでいるに決まっているじゃありませんか。)日本でも「感動した」という感想が多く寄せられると報じます。(画面には手書きの文章、「感動」の文字のアップ。でも何に感動したのか教えてくれません。)(たまたま今テレビがついていますが)NHKはベタほめです。小浜市だけでは足りず、夜9時のニュースはこう。オバマのスピーチを音楽がわりに一日中お店で流し、「聞けば聞くほどいい声ねえ」と聞き惚れる美容師さん。同じくオバマのCDと一緒にスピーチを暗唱する女子高生のグループ、「リズムとか使う単語によって伝える力が変わってくるのだと思います」と分析する中学生。なんだか自己洗脳。どうして女ばかり?と思いつつ、アンビリーバボーでございます。よく探してくると思います。(「小泉ブーム」のときとまったく同じですね。)

私は英語なんかろくにわかりませんから、どこかの中学生のようにスピーチの分析なんかできません。ですから彼女達が「感動」するのは、口蓋が縦に広すぎるのじゃないかと思うフガフガした声の「美しさ」やスピーチの「素晴らしさ」ではなく(素晴らしいスピーチであったとしても)、何よりオバマが「ブームである」ということだと考えます。(ほんとに「小泉ブーム」と同じことを書いている気がします…………)最初から「素晴らしいもの」として与えられたものを「素晴らしい」ことを前提に「素晴らしい」と受けいれる、という感じのとっても安全安心な道。けして個人の責任を問われることも恥をかくこともない道。

でも彼女たちをバカにする気はありません。こういうのはみんな自分の「新しい体験」に酔っているのだと思います。つまり、これまで政治に無関心だった人やまともな本をあまり読まなかった人や人の演説など聞いたことのない人が(=他と比較のしようもなく)いきなり「すごい」と感じてしまった、というような。「こんな世界があったなんて!」という「ヨン様」のドラマみたいなものじゃないでしょうか。私の世代でいえば、突然ロックに目覚めた少年。新しいことを知るのはいいことなんですから「あと一歩」踏み出してほしいと思います。そのスピーチが日本や自分にどう関係するのか、批判はないのか、反対する人は何を反対するのか、アメリカはどうなっているのか、等々。その一歩は意外に大きくて難しいものです。私なぞ、こんなに理解したいのに難しいことはわかりません。でも「さて」と見回してみるだけで景色はずいぶん変わります。(ここのところが「大衆」と呼ばれる私達の一番の弱みではないでしょうか。)ファンはファンでいいのだから、より良いファンになってください。そしていまだにオバマが何を言っているのかわからない私に教えてください。

ほどなくニュースは国内の緊急最重要問題、小室哲哉の初公判へと移りました。

● ブログ内の検索キーワード:オバマ、大統領選

2009年1月20日

国際キルトフェスティバル@東京ドーム



● 国際キルトフェスティバル公式サイト(1月24日まで開催)

毎年楽しみにしています。この展覧会は東京ドームを使って毎年1月の今頃に開催されます。こんな大きなキルト展は他になく、主催者の一つでもあるNHKが複数のテレビ番組で紹介しますし、全国からキルト愛好家が泊まりがけでやってくるといいます。私はテレビで知って素朴に「きれいだな〜」と思い、見に行ったのが数年前です。そして一度行くと癖になる何かがここにはあるんですよ。入場料、高いのに。

今年は併設の特別展に「赤毛のアン」の作者モンゴメリーが作ったキルトを展示するといいます。物語の舞台のプリンス・エドワード島まででかけてしまう「赤毛のアンおたく」のHを誘うと二つ返事でOK。(キルトも作るIが一緒に行けなかったのは残念でした。)いつも一人で行っていましたから、今日は気分も華やぎます。

国内のコンクールの優秀作品と有名なキルト作家の作品が主役なのですが、私には同時開催の特別展のほうが、実は楽しみです。海外の作品やアンティーク、またビーズ刺繍などキルト以外の針仕事をふくめ、毎年私の好きなものや知らないものばかり紹介してくれるからです。今年は「赤毛のアン」ですが、物語のアンの家を再現しているのにびっくりしました。建物の中には当時の生活の道具を配置し、周囲は布で作ったお庭!!! 芝生も花も草も、木々も落葉も収穫のカボチャも…………誰がどうやって作ったのか…………このあとどうするのか…………

その特別展のコーナーには「赤毛のアン」をイメージした日本の作家の作品も並んでいて、鷲沢さんというキルト作家の大きな白いキルトがそれはそれは美しくて、展覧会の中でも一番ひかれました。Hとも意見が一致しました。(二番目以降はおたがいに好みのわかれるところでした。)また面白い収穫がありました。特別展にはモンゴメリーが作ったクレイジーキルトと白いベッドカバーがあったのですが、ベッドカバーはとても手のこんだ棒針編みです。当時は「キルトを編む」という言葉があり、編み物のことでもあったというのです。へ〜え。

いちばん混む時間に行ってしまったようです。こんなに混んでいるのは初めてでした。でも今どき針仕事を楽しむ奥様ばかりですから、いくらひしめいても不快なことは何もありませんでした。でも奥様たち、けっこう携帯電話で写真を撮りまくりです。撮影禁止と書いてある所で係員に注意されている人も複数見ました。でも、たとえば全体としての風景写真や、自分のお師匠さんの作品と一緒に記念撮影、のような写真は許されているようです。私もせめて、このブログのためにお昼のすごい賑わいを撮っておけばよかったと思いました。(⇩帰り際、かなりすいてきた頃。本当はもっともっと明るい所です。)


そしてキルトと同じくらい楽しみなのが売店です。東京ドームの半分はキルトやパッチワーク専門の生地屋さんを中心に、関連のお店がびっしりと並ぶのです。キルトを作る人には間違いなく「資材調達天国」でしょう。私はキルトをやらないので見るだけですが…………使わないとわかっているきれいなはぎれやカワイイ小物を買い込んでしまいます。素敵な輸入物の生地や古い着物のきれ端など、素敵なものが本当にたくさんあります。

でも数ある売店の中でも一番のお目当ては、九州から毎年やってくるお茶と有田焼で、いい物がすごい値引きなのです。この展覧会は入場料が2000円ですが、ここでお買い物すると元を取った気がします。今回の収穫の数々は別項で。

étoffe というバッグ


前に新宿で見かけて「ちょっといいナ」と思ったことがあるバッグです。でも後楽園のレイジースーザンの前を通りかかったとき、よろめいてしまいました。

濃紺の地の鳥の柄に目が止まったのですがお店に入ると2つあり、生地の裁断によって模様の出方がまったく違うため迷いました。悩んだ結果、チンツ(ヨーロッパの更紗)のような雰囲気の象と猿の柄にしました。(反対側は猿の絵です。)この柄だけはなぜかポーチがついていていて、その分少々お高めです。ビニールは別売りで、なくても使えますが、白地ですから汚れ防止に一緒に買いました。でもこのビニールには小さい皮のロゴが縫い付けてあり、ほとんどのバッグで生地の模様の邪魔をしているようです。

ヘミングスという日本のメーカーのエトフ(étoffe)という製品。布製で使いやすい小ぶりな四角い手提げです。取手は金具で取り外しができ、ビニール無しでも使えます。バッグはきちんとした作りで、内ポケットやかぶせも付いています。生地はスエーデンやアメリカで、どれも明るく楽しい感じ、カタログ上の柄違いは76種類! ビニールを付けても価格帯はだいたい7000〜8000円台。小さいから派手な色や大きな模様でも服装のバランスを崩す心配がなく、いいアクセントになります。複数あれば色の違う取手に付け替えて雰囲気を変えたり、楽しみが増えそうです。またビニールの中に好きな紙、布、ニットなどで同じ大きさの中袋を入れて取手を付けるなど、自己流でも遊べそう。(1月20日)

● エトフ/商品紹介 オンライン販売もやっていますが、模様の出方が一つ一つまるで違うのですから、お店で現物を見なきゃ買えないと思います。

2009年1月19日

「陰謀論」を聞きに行く

たまたまベンジャミン・フルフォードのサイトを見たら渋谷区某所で講演会があるといいます。反ロスチャイルド同盟のあべよしひろ氏とのジョイントです。日曜日の午後6時半から9時半までという時間帯で会費は3000円。この二人にはネット上でタダの動画をたくさん見せてもらいましたから、たまにはお金を払わなくちゃと思い聞きに行きました。予約なしでしたが問題なく、聴衆は200人くらいいたかもしれません。

ベストセラーの「金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った」の著者でもあるあべよしひろ氏が、先にがお金のしくみや支配のしくみ、今度のアメリカの金融危機の原因などを解説しました。この人の講演はネット上で公開されているものを聞いたことがありますが、かなり単調なため途中で寝てしまいました。今日のお話も果たして一本調子で、わりとウトウトしました。またプロジェクターを使っても文字が小さくて見えなかったり、話す原稿と同じ文章がズラ〜と書いてあったり、今ひとつ工夫をお願いしたいものです。オバマの就任演説直前ですが具体的な言及はありませんでした。閣僚の顔ぶれと背景を紹介し、彼らにとって好ましい展開はあまり期待できない政権のようです。

フルフォード氏はプロジェクターなしのフリートーク。お話はこちらのほうが聞きやすくて面白いと思いました。内容は書きませんが。しかし初めて氏のライブにのぞみ、まずそのお腹に驚きました。元気に末永く活動するためにも、ぜったいにダイエット(食餌療法)が必要だと思います。その後二人の対談と聴衆との質疑応答がありました。一つ不満だったのは休憩以外は場内を真っ暗にしてしまうこと。せめてメモの改行の位置がわかるくらいにしてほしいと思います。

地味な集まりですが、特別な集まりではなく、聴衆は(意外に派手な身なりの人もいて)普通のいろんな人々のようです。陰謀論というとコワそうで、実際いろんな論者がいるでしょうが、この二人は本屋さんで平積みの本を出している人達です。興味のある人は普通に参加して大丈夫ですよ。(1月18日)

● ベンジャミン・フルフォード公式ホームページ
● 反ロスチャイルド同盟

梅いも

帰宅時に家の近くで珍しく石焼きイモの車を見かけました。(何年ぶりでしょう。)明かりがついていないのでもう商売は終わりかと思いましたが、声をかけると止まってくれました。そして残っていた2つを、少し冷めているけどと言って安くわけてくれたのでした。でもまだアツアツで、家に着くなり食べたわけですが…………切り口がなんと梅の花。なのでした。

(近頃暗い部屋に住んでいるので写真が暗くなりました。不本意です。)

2009年1月18日

26年前のニット


新年そうそう彫刻家の友人からパーティーのお知らせが届きました。結婚のお祝いですが、いわゆる結婚披露宴ではなく、主催は彼のアート仲間です。これは、以上の条件で「何を着るか」についてだけの話です。

美術家や古い友人達が中心のお祝いですからカジュアルな雰囲気であろうと踏みました。会場は都心のちょっと意外な洒落た場所。きちんとしたよそ行きはもうデブって着られませんが、どのみち絹やビロードやエナメルのパンプスよりも遊び着。色がきれいで少し派手めのニットがいいのじゃないか、と。しかし手持ちで適当なものが思い浮かびません。パイユドールに行けば何か素敵なものがあるんじゃないか、デパートもセールの真最中のはず…………そう思うのですが、いま一つお買物に挑むパワーを欠き、家事や勉強ばかりしているうちに日が迫ってきました。

前々日になって大昔に買ったルーマニアの刺繍のすごいブラウスを思い出し、めったに着ない衣類の箪笥をあけました。ところが記憶違いかブラウスはなく、代わりに去年中華街で買ったピンクのシルクの刺繍のジャケットと、ブラウスと同じくらい大昔のニットのワンピースがありました。中華風のジャケットは華やかでこういう機会にぴったりですが、組み合わせが今ひとつ上手くいきません。かたやニットは二十代のときのもの。多分26年くらいたつのにとてもきれいな状態で、そのまま着て出られそうです。模様は単純ですが総編込みで意外と凝った糸を使っており、ラメも少々入っています。あまり古びた感じがしないし、間違いなくブラウスよりあたたかいし、これに決めました。

コート下にも便利で当時はよく着ました。たいてい黒のストッキングに黒のパンプス、きれいなローズ色の巾着みたいなバッグを組み合わせていました。今では丸首の襟ぐりと袖口のゴム編みが細くてちょっと貧弱なので下に黒のタートルネックを重ね、袖もわざとニットの袖より出して着ることにしました。膝小僧が出る丈ですから黒のスパッツとお気に入りの黒のスエードのブーツを組み合わせれば、今年風ではなかろうか? 黒がメインになるのは不本意ですが無難ではあります。

黒のスパッツはどこでも売っていますから、前日近所のスーパーに行きました。するとかぶりやすそうな黒い模様編みの小さいニット帽が半額だったので一緒に買いました。去年パイユドールで買った紫色のコットンのニット帽をかぶるつもりでしたが、合わせてみるとこの黒のほうがしっくりまとまるようでした。合計3000円弱。なんだかたいへん安上がり。

パーティー当日は家でぐずぐずしたり道を間違えたり、少し遅れて会場に着くともうスピーチが始まっていました。あたりは暗くて、スーツ姿の「おじさん」の後ろ姿がいっぱい。少し中へ進み友達を探して見回すと、近くには和服のご婦人も…………。アチャー、失敗かと思いました。しかし明かりがつくと、実にいろいろな装いにあふれていました。集まったのは140人。かわいらしいドレス、アートなストール、きれいなニット、変わったブラウス、不思議な組み合わせの重ね着、等々。やっぱり「何でもあり」でした! 素晴らしいのは、知っている人も知らない人も誰もがその人らしい雰囲気で、ぴったりなこと。やっぱりアート系は大好き。無論私の装いは最高ではありませんが、奇妙なもので「26年前の服」ということに自信を感じました。私も私らしかった…………かも。(1月17日)

2009年1月14日

別冊太陽「更紗」


別冊太陽「更紗」
小笠原千枝監修
平凡社/2005年12月18日発行/大判208ページ
2800円

一昨年町田でやったインドネシアのバチック(更紗)の展覧会が、国内を何ヶ所も回った後、去年の9月に虎ノ門の大倉集古館にやってきました。私はまた見に行きましたが、展覧会のカタログはもうなくて代わりにこれを売っていました。ちょっといい本だと思いましたが、一緒に行ったPさんは自分が買って私に貸してくれるというので、とりあえず借りることにしてしまいました。しかし眺めるだにいい本でしたから、先月近所の本屋さんに注文したのです。それが今日届いたというわけです。

更紗が好きな人は必携です! 更紗の文化を広く網羅した素晴らしい「図鑑」です。インド、インドネシア、タイ……更紗を知って大好きになってしまった日本、夢中になってしまったヨーロッパ……というふうに地域別で、たいへん多くの図版がオールカラーで収録されています。ページ数では日本に残る輸入の更紗と日本製の更紗に多くがさかれており、お茶の道具を包んだり煙草入れにしたり、江戸時代の贅沢でウルトラ・ハイカラな趣味を垣間見せます。このあたりは昨年11月の「古渡り更紗」展(五島美術館)とも重なります。

印刷物の写真はきれい過ぎることがありますが、展覧会で見た布の風合いや色味を思い出しながら、自分の好みに修正しながら見ます。どの模様もすてきで、本当に楽しくなります。(自分もこんな布を作れたら……何をしよう? せめて好きな模様を水彩画にしてみようか。そんな気持ちで盛り上がります。)

発行から年月がたっていますが今でも普通に入手できます。お好きな人はぜひどうぞ。

Universal Soldier -- Donovan



『ユニバーサル・ソルジャー」ドノバン/1965年

彼は身長5フィート2インチで、6フィート4インチ
ミサイルで戦い、槍で戦う
31歳であり、たった17歳であり、
もうずっと、1000年間も兵士なのだ

彼はカトリックで、ヒンズーで、無神論で、ジャイナ教
仏教徒で、バプティストで、ユダヤ教徒
彼は殺してはいけないと知っている、でもいつだって
僕と僕の友達のために君を殺し、君のために僕を殺す

彼はカナダのために戦い、フランスのために戦い、
アメリカのために戦う
彼はソ連のために戦い、日本のために戦い、
そしてそのやり方が戦争を終わらせると思っている

彼は民主主義のために戦い、共産主義のために戦い、
よりによってそれが平和のためだと言う
誰を生かすか 誰を殺すか 決めるのは彼だ
予言を見たこともないのに

でも彼なしで
どうやってヒトラーはダッハウで……できただろう
彼なしではシーザーだって一人きりだ
彼は自分の身を戦の武器としてささげた者
そして、彼なしではどんな殺戮も続けられない

彼は「ユニバーサル」な兵士、彼のせいなんだよ
彼は遠くからくるのじゃない
彼はそこからもここからも現れ、君であり僕だ
君たち、わからないのかい?
これは僕たちが戦争を終わらせるやり方じゃない

(まさに「universal」という言葉がそのまま日本語になりません。「宇宙」であり「万能」であり「普遍的」であり。歌の趣旨からいえば、敵と味方に分かれて戦っていても兵士であることの理由はみな同じで、やることも同じで、自分だってそうなりうるのだということですが。「ダッハウで……」は明らかにヒトラーが収容所でユダヤ人を殺したことを指しますが、検索すると歌詞どおりでは意味が通じないというネイティブの説多々。)

 ←歌詞のサイト

2009年1月13日

何事もありませんでした

はい、連休明けの1月13日です。世の中べつに変わりなく、何よりです。

2009年1月10日

明日は1月11日

もうず〜っといろいろな人が日本経済の危機を語っており、StyleFMの原女史は1月11日(または2月)に預金封鎖が起こると言いました。昨日の「ファイナンシャルBOX」(ラジオNikkei のポドキャスト)を聞いてもワカンナ〜イ。この連休明けはどうなるのしょう? 皆様、準備はお済みですか?

といっても、準備などできようはずがありません。早くに情報を得た人はさっさと現金をおろして海外に移したり金を買ったことでしょう。でもそれは抜け駆けというもので、自分だけは損しまいというずるいことです。(また素人がやるには為替のリスクがあるし、質の悪いインチキな金が出回っていたり、安易に手を出せません。)それに皆でお金を下ろそうとすれば「取り付け騒ぎ」が起きてしまいます。その意味では誰もお金を引き出せない「預金封鎖」は預金者に公平……なのかなあ……???(そういえば日本の大企業につとめていたときグループ内の保険会社が倒産して、多くの社員が加入していたのですが、お金を下ろせない解約できないと嘆いていたことがありましたっけ。あれのうんと大きいやつ?……と想像するばかりです。)

そういうことはそもそも銀行や国に現金がないために起こるのですから、預金封鎖の結果は悲惨です。2001年に国家破綻したアルゼンチンでは中央銀行の金庫がカラッポになり、銀行に充分なお金を持っているはずの市民でも今日食べる物を買うお金が手元になくて、ゴミを漁ったり、物々交換でつないだのでした。(たまたまテレビで見たドキュメンタリーを覚えています。)日本の場合、噂では月に20万ほど下ろせるといいますが、それが2年も3年も続いたら……? しかも晴れて封鎖が解除されたら預金はペイオフの解禁で1千万円までしか保証されず、それも去年倒産したアメリカの銀行の例では7割ほどしか戻らなかったといいます。(となれば億万長者が「自分だけは」と先走るのも無理ないかもしれません。)(そういえばペイオフが議論されていた頃、「それじゃ東京都の預金はどうなるんだ?」という質疑があったのを思い出しました。あれはどうなったんでしょう?)

私にはケーザイをどうこう言う能力がありませんが、この危機をやりすごして将来というものがあるのなら、自分はせめて欲をかかず、しかし損しないよう頭を使い、そのためには単純なやり方をとりたいと思います。(そして日々の楽しい無駄遣いにはカードを使わないとか。)「宵越しの銭は持たない」という江戸の職人の暮らし方とそれができた世界が、ちょっと羨ましくなりました。

それで勉強なんですが、「Money as Debt」(Googleビデオ)はとても勉強になりますよ。これはある種の踏み絵のようで、これをしっかり踏みしめて次へ行かなきゃいけないという一つの関門だと思います。私は一度ではわからなくて何度も見ました。半信半疑でもとりあえず頭に入れておくと、本を読んでもニュースを見てもずっと理解しやすくなります。普通の暮らしの中では誰もそこの部分に触れませんが、実際にそういう骨組みの上に経済が成り立っているんでしょう。同じことを書いた本も既にたくさん出ています。でも本は(とくに馴染みのない分野では)選ぶのが難しいし、買っても読みこなせないかもしれません。その点ネット上の動画は一定の時間の中でまとまっているし、何度も見返せるし、とても便利です。日本語字幕のついたものはきわめて限られていますが、「Money as Debt」は中身が濃いので、これだけでもじゅうぶんじゃないでしょうか。(英語のものはたくさんあります。その同じ動画から重要な所だけ抜き取った動画もたくさんあります。ただアメリカと日本では事情が異なる部分があるのかないのか、そのへんをいちいち解説してくれる人が必要です。)

この手の本では「金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った」という文庫本が大ヒット中だそうです。(私は読んでいませんが。)これを出しているのは「Money as Debt」に字幕をつけてくれたのと同じ「反ロスチャイルド同盟」です。(この名前、なんとかなりませんかネ。もっといい名前がありそうなものを……。)ここのサイトを見ると、他にもいろいろためになる情報が詰まっています。

「ナイショの話」がこうやって広く知られるのはよいことだと思います。私はずっとお金の話なんてお上品じゃないと考えてきましたが、反省してます。知識を得れば自分のお金に自分なりの対策を取ることができます。(プロがやるような領域には手を出さないとか。)バクチに出るにしても、「自己責任」を隠れ蓑にいいように振り回されるのと理解した上で行動するのでは大違いです。金融という大きな仕組みに欠陥があるなら、修正を待つよりも皆が賢くなって皆の行動の変化で修正を促すほうが早いかもしれません。そう思うと、私達は今、すごい時代にいるのだと思います。これまでの不況とは質が違うのです、わが友がらよ……たぶん。けして大袈裟ではなく、歴史の立会人としてよく見ておきましょうね! そのためにも勉強しましょうね!(そして出来るだけお買い物しまショ。)


このブログ内の関連記事
● これでいいのか? お金のしくみ 2005年12月15日付

2009年1月9日

レゴのアニメは数々あれど

昨年1月7日にアップされたロン・ポールの応援ビデオですが……これはすご〜い! 誰が見ても損しないから見てください。投稿者自身が作ったそうです。コメントはもちろん絶賛の嵐。私も1年遅れて星5つつけちゃいました。

Ron Paul Brickfilm(Sam Lawrence/2分28秒)


<かいせつ>
私といっしょにお勉強した人ならカワイくて面白くて笑っちゃったと思います。最初に出てくる旧ソ連みたいなコワイ建物が アメリカの Federal Reserve(連邦準備銀行/略してFed )です。アメリカのお札を作る所です。(でも「フェデラル・エクスプレス」同様、民間企業です。)出勤したマネジャーさんは「今日は何をしようかな〜」という感じで、お金を刷ることにします。クリックするだけです(本当にコンピュータに欲しい金額を入力するだけだそうです)。ドル紙幣の印刷が始まります。ところがとつぜん警報が鳴りました。あんまりドルを刷りすぎて、ドルの価値がお札を刷るコストまで下がってしまったのです。エラーが発生し、印刷機は緊急停止。パニック状態のマネジャーさんはコンピュータの画面に表示された「解決策をオンラインで探す」をクリックします。(ここが面白いでしょ。)すると「解決策が1件ありました」とリンクが示されます。少しためらいながらクリックすると、大統領候補ロン・ポールの公式サイトでした。そこでロン・ポールが言います。
「インフレの問題を、さらにマネーの供給を増やしてインフレで解決できると誰が思いますか。」
(実はこれ、議会でまさにFRB(連邦準備制度理事会)議長のバーナンキに向かって説教してる場面なのです! バーナンキはお札を刷りまくることで有名。)はっとしたマネジャーさんは物音を聞いて窓の外を見ます。するとロン・ポールが飛行船から手を振っています。マネジャーさんも手を振ります。そして飛行船はキャピトルヒルを悠々と飛んで行きました。(選挙運動で本当にああいう飛行船(Blimp)を使ったんです。乗ったのは支持者だけですが。)だから「ロン・ポールを大統領に!」……おしまい。

レゴが動くだけで楽しいのに、現実のアメリカ経済の問題とFRBに対する候補者の意見と支持者達の選挙活動を織り交ぜてるんですよ。コンピュータのソフトが「iFed」とは! 選択項目もすごい。お人形の表情も、印刷した紙が簡単に「ドル」になるところも、音楽も、画質も、隅から隅までスバラシイ! いやもう最高傑作でございます。

2009年1月8日

オバマの演説



すでに書いたように、私はアメリカの大統領選では主な候補者の顧問全員が好戦的だと知って冷めてしまいました。それでもオバマの勝利演説では、また泣けるような話が聞けるかしらと思ってテレビをつけたのです。でもつまんなくて拍子抜けしました。「人民の人民による……」さえどうにも取ってつけたように空々しく響きました。でも私はオバマのことなど知りませんから、今日あらためて演説を聞くことにしました。

上の動画は数ある中から適当に選びました。まあ、彼はこういう演説で全米を虜にしたのでしょう。(もっと小さい埋め込みにしたかったのですが、字幕の都合で大きいままにしました。YouTubeのBarackObamaJapanチャンネルを見ると、これ以外にもオバマの演説に日本語字幕をつけた動画をたくさん見ることができます。)この間延びしてスカスカの(おまけに声がフガフガで)、中身もカラッポの演説に、どうしてこんなに盛り上がれるのか不思議です。それともカラッポだから? これは小泉政権が裏で言っていたという「B層」向けですか?(同じ5分間のスピーチを文字におこしたら、オバマはロン・ポールの何分の一でしょう?)

先月お金の話で洗脳されてしまった私には、この演説が尚更カラッポに聞こえます。お金の問題がアメリカの病根だと考えるようになったからです。でもそこに触れないにしても、アメリカ国民を分断させている「政治」って何? 「政治」といえば誰でもわかるんるんでしょうか? もしブッシュ政権にうんざりしているなら、あそこにいる殆どの人達が自分で旗を振ってブッシュを熱く支持した結果じゃありませんか。話は「一つのアメリカ」だけで、具体的な問題の指摘がなく、改善案もなく、独自の新しいアイデアもなく、ただの一つもなく、ただただ抽象論です。イメージです。そりゃいろんな人が仲良く暮らせる社会は誰もが望むでしょう。(じゃあどうやってそういう国にするのか言ってごらんなさいよ。)でもアメリカは「分断」されているのですか? 私の子供時代はまだ人種差別がひどいものでした。でも公民権運動やサブカルチャー革命をへて、今は雲泥の差ですよ。貧富の差だって、アメリカを象徴する豊かな中間層をつぶしたことで間ができてしまったのであって、政府を恨んでもお金持ちと貧乏人が憎み合う筋じゃない。(それとも、そうなんですか?)共和党と民主党の支持者がいても、反目しあって内戦が勃発したわけじゃない。(と思いますけど。)人種や文化の「サラダボール」であるアメリカではいろんな切り口で国民を「分類」することができます。でもそれは必ずしも「分裂」や「断絶」や「分断」を意味しない。それをことさらに「みんな一つだ、みんなアメリカの国民だ、一緒に血を流すんだ」といわれたら、911の後のあの「USA! USA!」という怒号の嵐を懐かしみ、あの頃のように一つになって(あぶれたものは逮捕して)次の戦争をガンバロウと言っているのかと訝ってしまいますよ。(事実景気対策としての泥沼戦争をやらないという保証はどこにもないのです。)

オバマ対マケインの選挙はつくづく空しかったと思います。(Presidential Debateをご覧になりますか?)共和党はペイリンを選んだ時点で本気だったと思えないのですが。当事者がどうでもいいような選挙で、誰が勝っても負けてもどうでもよかったんではないんですか? 副島隆彦がいうように「最初からオバマに決まっていたんだから」、陰謀論者が言うように「ロックフェラーが決めたんだから」「CFRだから」……そういう話だって本当にあるのかもしれません。

6月に選挙戦を下りたロン・ポールは、同じ共和党のマケイン陣営から「マケインを支持してほしい」とお願いがあったそうですが、考え方が違うと断ったのでした。彼は「マケインもオバマもおんなじだ」と言います。そしていわゆる「二大政党」ではない、小さい政党や個人の「third party」の支援に回りました。そして自分の支持者に本選挙では「third party」に投票してほしいと訴えたのでした。なんとまあ……。それで、こないだアップした地味な討論会に出演していたのですね。(third party は「第三者」という意味ですが、彼らのことを日本の慣例でなんと呼ぶのかわかりません。「泡沫候補」?)third party には「憲法党」「グリーン党」などがあり、ラルフ・ネーダーは一貫して個人でやってたと思います。

ラルフ・ネイダー支持者が作った「オバマ、マケイン、ネーダーのバーチャル・ディベイト」みたいな広告です。(英語がわからなくても音で同じ事を言っているのがわかるでショ?)あのネーダーが急にカッコよく見えて、うまいなあと思います。



こうやって改めて大統領選を見ると、上手く言えないので大袈裟に言いますが third party の存在によって「アメリカ=民主主義」の体裁を支えているのかもしれないと思います。どんなに弱小でも正しいと思うことを主張する、大政党の議論に上らない問題を提起する、二大政党制そのものの陥穽に対して意義を唱える人達がいることは救いです。そういう人達に耳を傾ければ、たとえ全面支持はしなくても、思ってもみなかった事柄に誰でも気づくはずなのです。大統領選挙において、彼らは自分が大統領になることよりも(無理だとわかっていても)、二大政党制や大統領選挙のあり方と戦うために活動しているかのように見えます。

さて、次期大統領に決まったオバマはアジテーションを終えて政策を語らねばなりません。とりあえず現在のイスラエルのドンパチについて何を言ったんでしょうね。(追記:1月9日/何も言ってないようです。New York Times, Jan 8, 2009 )そして就任後に、共和党のブッシュ政権が911のどさくさに決めた事柄——大統領に与えたとてつもない権限の数々や愛国法をはじめ国民の自由を制限する評判の悪い法律の数々をどれだけ撤廃するのか。見ものです。(やらないでしょう。)アメリカの選挙の投票権を持ち、オバマを支持した友人によれば、早くも選挙中に言っていた話と違いが出てきたそうです。(もちろん誰でも就任すれば現実とのかねあいで多少の修正をしなきゃいけないそうですが。)そして彼女はロン・ポールを知りませんでした。私は今頃になって少し興味をもっただけで、たいへん無責任に書いています。しろうとの無邪気な感想デシタ。

PS:こんなの見つけてしまいました。(いいのかなあ)
● Daily Show CNNでもやっている時事ネタお笑い番組。コメントも見てね。(2008年6月頃?) 
(追記:1月21日/今日見てみたら削除されていましたから、番組制作者のサイトから持ってきて文末に埋め込みました。YouTubeの削除はコメントも消えてしまうのが残念です。今覚えているのは「反ユダヤと言われずにユダヤ批判できるのはジョン・スチュアートのようなユダヤ人だけ」くらい。ついでにFinannce Reform/6月23日放送のもどうぞ。)
● Obama and Blackwater ブラックウオーター告発の第一人者スケイヒル(Jeremy Scahill)。隣にいるのはナオミ・クライン? 本題は4分30秒くらいから。頑張って聞くのだ。(2008年11月15日) Clinton vs Obama on Blackwater(2008年3月17日)もよろしよ。ブラックウオーターが何かを知っている人にはこちらのほうがわかりやすいかも。(追記:1月26日/こインタビューの中で頑張っているオハイオ州の議員さんとして名前が出てくる人を見つけました。私にはキャピトル?と聞こえてわからなかったのですが、「Mercy Captur」、こんな人です。)

● おまけ Naomi Klein on OBama  Real News、ナオミ・クラインの意見。(2008年8月26日)

(追記:1月10日)
ロン・ポール関連の一昨年4月投稿のビデオを見たら、4日前のコメントにわりと脈絡なしでこんなのがありました。
chill out people. What I don't understand is why our country is so divided even though we claim we are the united states. I guess it only goes for the physical states... not the people.. sad. No wonder other countries don't take us seriously. We're all so preoccupied with who is an "ignorant moron" or an "asshole".. it's just pathetic.
個人の嘆き? それとも、やっぱりアメリカって「分断」しているんでしょうか。確かに外国人にはわかりません。(オバマに行けばいいのに……?)

↓ リンク先が削除されたから著作権を有するサイトから追加。

2009年1月7日

「自由のフィロソフィー」


日本が民主主義の国であるなら、こういうことを真面目に語り合えなきゃ嘘です。まず小学校の先生に見てほしいかもしれないムービー。「なぜ人を殺してはいけないの」などとほざく子供とうろたえる大人を最初からぶっ飛ばせるでしょう。

(追記:2011/8/23/下のリンク移動しないでください。Safariは終了してしまいます。YouTube版でごらんください。↓↓)

● The Philosophy of Liberty

このムービーは始まったら途中で止めたり戻したりできないのが欠点です。ゆっくり言葉をかみしめたい人にはYouTube版がありました。

● The Philosophy of Liberty (YouTube)

もしこんなの理屈っぽい難しいと思うなら、そのとおり。「自由」とは理屈っぽく難しいものなのなのです。「自由」はけして地面や空のように自然にあるものではなく、理由があって人間が作ったから存在するのです。だからちょっと油断したらいつ失なっても不思議ではありません。でも日本人は議論が苦手ですね。
(ロン・ポールの公式サイトのリンク集でみつけました。)

ありえないアメリカ英語

YouTubeを見ているとき音声で「sound money」と聞こえた気がして、Macについている辞書で調べると出ていません。そこであらためて「sound」という単語を調べたら、形容詞の4つ目にすごい例文がありました。

4  〈会社などが〉(財政的に)安定した;資産[支払い能力]のある;〈建物などが〉強固な, 頑丈な
General Motors is (as) sound as a dollar.|GMの経営状態はきわめて安泰だ.
ところで「sound money」とはインフレを起こさない仕組みのお金のことのようです。

2009年1月5日

いい加減なブログ……

12月に書きかけたものを、今少しずつまとめて日付を遡ってアップしています。よろしければ、ときどき下のほうまでスクロールしたり、右の「累積資産」を覗いたりして見つけてくださいね。

本当は一年以上にわたり、アップしてない書きかけが何十もあるんです。(書くのが遅かったり写真が間に合わなかったり。)とんでもない頃のもこっそりアップするかもしれません。でもこのブログに来てくれる人は殆どが検索エンジン経由ですから、ま、イイカナ、と。
お馴染みさん、ごめんなさい。ナハハハ……

2009年1月4日

ロン・ポールの続き

そりゃ私だって2004年の民主党大会でバラク・オバマが演説するのを聞いたときには思わず涙が出ましたよ。何の話だったか忘れましたが。そのとき番組の解説者が「将来の大統領候補といわれている人です」と言いました。「へーえ、人知れず人材が育っているんだな」と思いましたが、ヒョロリとした若造で、まさかいきなり次の大統領選に立候補するとは思いませんでした。その後党の指名を得るまでのオバマ対ヒラリー戦は日本でも(表面的に)よく報道されましたが、たまに見ながら、オバマという人は「いつかは大統領になる」という思いで試しに立候補してみただけなんじゃないか、こんなに盛り上がって実は本人は戸惑っているのじゃないかしらと(根拠なく)想像しました。それがアレヨアレヨと……とうとう現実の大統領……になるのですね。なんだか背広が似合わない人だと思います。

アメリカ時間11月4日の夜遅く、当選が決まったバラク・オバマの勝利演説を聴くためにシカゴの広場に予想を遥かに超える20万人が集まったという映像をテレビで見た時……こりゃヤバイと思いました。あの大群衆は……あそこまでいくと恐怖です。(ロックのスーパースターでもハイル・ヒトラーでも大群衆は恐怖です。)このときから私はオバマとオバマ支持者を敢えて疑いの目で見ることにしたのです。

今度の大統領選も少しの関心がありました。アメリカには黒幕がいて誰が大統領になっても同じという噂はずいぶん昔からあるものの、黒人、ご婦人、ご老人という前代未聞の取り合わせで、どれをとっても新機軸!という感覚でした。(日本の報道は各人の主張や日本への影響の違いを分析するものではないので、じっさい何も判らないのです。だからといってCNNにかじりついたり自分で調べるほどの興味はわきませんでした。)しかし日本でも放送している「デモクラシー・ナウ」というアメリカの独立系メディアの番組で、共和・民主両党の主立った候補者の政策顧問は揃いも揃って戦争ドンパチ派、いつでも外国で市民を殺しまくる意欲モリモリの人ばかりだというレポートを聞き、すっかり冷めました。

● 政治を変える一票? 日本版「デモクラシー・ナウ」、日本での放送は2008年1月3日。ビデオは日本語字幕付き。(ちょうど1年前だったのですね。)

ついでにこんなのもあります。お金、権力、足のひっぱりあい……その他もろもろ。
● あなたは大統領になれない——民主主義の驚くべき障壁 つまり誰でも大統領になれることが建前のアメリカにおいて、本当はどういう人が大統領になれるのか。日本版「デモクラシー・ナウ」、日本での放送は2008年8月28日。ビデオは日本語字幕付き。

現にオバマはイラクから撤退するがアフガニスタンにはリキを入れると言っています。ともかく戦争はやめとくれ、軍事介入はやめとくれ、日本を巻き込まないでくれ、そういう素朴な思いでいっぱいなのです。ですから先月たまたま、「誰も戦争なんかしたくない」「韓国からも日本からも、世界中から米軍を撤退させる」ということを平和主義や日和見なんかじゃなく、「憲法主義者」として主張する共和党の大統領候補(ロン・ポール)がいたことを知って驚きました。合衆国憲法を尊重し、共和党の基本にもとづいた「小さな政府」を標榜し、医師でありながら経済に強く、今日のアメリカの危機を早くから警告していた人でもあります。この人の話を聞くと共和党の本来の立場とその意義が見えてきます。しかし正論であるがゆえに却って「どうして共和党から立候補するのか」と問われたり、「(所得税を徴収する)IRSの廃止」「(お金を作る)FRBの廃止」をはじめ、普通の人々が普通に望むことばかりの超勇気ある公約によって、はじめから大統領になれるはずがないのかもしれません。

慎ましいネガティブ・キャンペーンといえばいいのか、困った顔したオバマの写真1枚の、とっても簡潔なロン・ポールの応援ビデオをみつけました。国会議員としてのオバマの投票行動が実は人々にとってあまり好ましいものではなかったことと、「チェンジ、チェンジって、あんた一体何をチェンジするの?」「…………」、オバマと違ってロン・ポールはしっかりしてるのヨ、という内容です。



投稿者のコメント:An attempted non-bias voting record comparison between two candidates, Barack Obama and Ron Paul. / Please note "oppose" is defined as: 'To take a stand against: buck, challenge, contest, dispute, resist'. / Also this is essentially bias towards Obama. He was not in the Senate to vote against the Iraq War. Sorry, I thought he had. Also he was not there to vote on the first Patriot Act, but he did vote for the 2nd. / Ron Paul is also for keeping the internet free. Freedom is popular after all! ;) )

大統領選の広告ビデオを一つ。「Ron Paul: A New Hope」


直接YouTubeで見れば見た人のコメントが興味深いし、関連動画がイモヅル式です。→ ここ。

本選挙に圧勝したオバマの支持率は80%といいます。え? ちょっと待って。
ジョージ・ブッシュはイケイケの黄金期に支持率が90%でした。ということは……(算数苦手で間違っていたらすみませんが)最低でも70%は数年前に911に踊らされて星条旗を振って「USA! USA!」と叫んでいたのが『Yes we can ! Yes we can !」に替わっただけ……?! そう思うと、ともかく熱い大衆というものがオソロシクなります。(またオバマ本人の出方もコワイのです。今は少なからぬ日本人も固唾をのんで就任演説を待っているんじゃないでしょうか。そこで万一国家破産でも宣告された日には日本の米国債がすべてチャラ…… ところで自称予言者・副島隆彦は「オバマは2年で失脚、後をヒラリーが次ぐ」と断言しています。ううむ……)

バラク・オバマといえば、インターネットを使った選挙戦、小口で広くお金を集めたことがよく話題に出ます。だから「草の根」だと。でも(上に紹介したデモクラシー・ナウのビデオにあるように)オバマの献金の主な中身はウォール街や巨大企業で、小口の献金に限れば過去のハワード・ディーンの足下にも及ばない額でした。そもそもそういう話なら本当はロン・ポールでしょう。1988年にも大統領選に立候補したそうですが、20年間下院議員をやっていても未だにアメリカ人が「誰?」というくらい知名度の低い候補者だったのです。宣伝するお金もない。しかしひとたびインターネットに情報が流れると若い人達のあいだにみるみる支持を広げ、大手メディアに乗る機会が少ない分YouTubeやMySpaceなどネット上で選挙運動がわき上がり、それはロン・ポール自身が予期しなかったことのようです。2007年6月にはネット献金でオバマ/クリントンに次ぐ430万ドルを3万7000人から集め(一人あたり116ドル/ネット献金は25ドルから)、12月には24時間に600万ドル以上を集め、それまでの24時間で集めた記録、ジョン・ケリーの570万ドルを抜きました。(こんなにお金のかかる選挙って問題だと思いますが。)

そうした驚きを伝えるアメリカPBS(公共放送)の番組のビデオがありました。ネット上の投稿サイトの動画は選挙の応援が多いのですが、これは報道番組がロン・ポールの選挙戦を取材したものです。(28分ほどの番組中の頭18分ほどです。)いかがわしげな白人主義者の支持のことも出てきます。日本のメディアは無視しましたが、けして泡沫候補でなかったことがわかるでしょう。

(さらに言っておきたいのは、彼らの知ったことではない所で、つまり彼らのインターネットを使った選挙運動が終わった後の外国にあってさえ、現にこうして訴える力を持っていることです。普段から多くのアメリカ人と直接かかわるような生活をしていない私には、911以降のアメリカにシンパシーを感じる理由はありませんでした。理不尽な要求ばかりつきつけられるし、つねに良くない話題のほうが説得力をもって響きます。しかしここにきて、こういう政治家がいること、それを支持する人がいることを知って希望はあるかもしれないと思いました。熱をおびた大群衆ではなく、話せば理解しあえるかもしれない個人の存在を感じ、もっと知りたくなります。ここまでを含めて「インターネット政治」だと思います。すごいことです。)

● Ron Paul and Internet Politics PBSの番組『Now」のサイトから。
● Ron Paul and Internet Politics 「Now」のビデオ。2007年12月14日放送

もう一つ、(以前はNHKのBSでも放送していた/今もやってる?)ジム・レーラーの「News Hour」の番組サイトから2007年10月12日放送のインタビュー。外交、銃規制、中絶の是非など、ひととおりの問題にふれています。文字版ですから辞書を引きながら読めます。(音声版、動画版もあります。)

● Paul Envisions Smaller Government, Less Global Intervention 

というわけで、こんど読みたい本はこれ。いいことばかりじゃないかもしれないから、この人の考えをもっと知りたいと思います。


The Revolution -- A Manifesto
Ron Paul著
Grand Central Publishing刊/2008年4月発行/192ページ
amazon価格14ドル28セント

ロン・ポールの(大統領選の?)マニフェスト。これはハードカバーですが、これからペーパーバックが出る予定だそうです。え〜、どういうこと?! 党の指名に至らなかった落選候補のマニフェストですよ。20日には支持率80%のオバマが就任するというのにですよ。……今から読みたいという人がよほどいるのでしょうか。惜しむべくは72歳……4年後には76歳、大統領になったら一期満了で80歳……(あと10年若かったら……)

翻訳本はありませんが洋書として日本でも売っています。日本のamazonには「こういう人がアメリカ大統領だと日本にもいいのじゃないか」という内容の読者レビューがありました。現在アメリカのamazonで書籍全体の208位。(すごいことです。/あ、勿論本が出たときはニューヨークタイムズのベストセラー1位だったそうです。)読者レビュー数は746、92%が星5つ。一番新しいのは1月3日付で「ロン・ポールが僕たちのリーダーであろうとなかろうと、この本は僕たちが何処へ行くべきかを明確に示している」。一方星1つの意見は「他の人が気づかない問題点を指摘するのはいいが解決策が単純すぎる」「合衆国憲法を尊重するのはいいが、時代の変化とともに加わった修正を無視するのはおかしい」といった感じでしょうか。

オバマのスピーチ本、流行っているそうです。町の本屋さんでも平積みです。でも私が読むとしたらこちら。


オバマ 危険な正体
ウエブスター G ターブレイ著、太田龍訳・監修
成甲書店/2008年11月29日発行/320ページ
1995円

ひゃ〜、太田龍先生の訳ですか。値段、高すぎますよ。amazonは便利ですがデータが残りますから、こういう本や五次元文庫あたりの本ばかり注文すると、万一怖い時代が来たときに「思想的偏向者」としてマークされちゃうんじゃないかと心配です。買うならできるだけ大手書店で不特定多数にまぎれて買いたいと思います。(買わないでしょうけど。)アメリカには他にも批判本があります。たとえばこれ。


Obama Nation -- Leftist Politics and the Cult Personality
Jerom R. Corsi 著
Thredshold Editions 刊/2008年8月1日発行/384ページ
amazon価格18ドル48セント

アメリカのamazonで星3つ半ながら、読者レビューの数は現在679。ざっと見て「私はオバマに1票入れたが、投票前にもっと知っておくべきだった」「誰もが読むべき本」等々。一体何が書いてあるんでしょう? 今度の選挙ではマイノリティーや若いモンなど、これまで選挙をしなかった人達が多く参加したと言われています。そういう人達の支持があってのオバマ大統領だと。でもそういう人達はきっとブッシュ政権にうんざりで、最初から民主党、最初からオバマやヒラリーという初の非白人や初のご婦人に舞い上がっちゃって、最初から彼らのことしか見ていなかったんじゃないでしょうか。想像に難くありません。

まあ、どんな人物であれちゃんとやってくれればいいんです。でも何をやろうとしているのか、肝心のこれからの政策にぜんぜん興味がわきません。オバマという人にハナから魅力を感じないから勉強する気がしないのです。日本ではオバマ大統領歓迎ムード一色ですが、あんがい後悔しているアメリカ人がいるのかもしれませんよ。


● このブログ内の関連記事: すごいアメリカ人オバマの演説
● ブログ内検索キーワード: ロン・ポール、オバマ、大統領選挙 

2009年1月3日

食品添加物の話(見るべし)

12月以来ネットの動画にはまっています。今日はこれを見つけました。

ミランカの「博士も知らないニッポンのウラ」は前から見たい番組がたくさんありました。でもMacに対応していないのでYouTubeあたりの1〜2分の広告を見るだけでした。でもニコニコ動画やGoogleVideoに丸ごと出ていましたのです。(というより「残っていた」。著作権ナンタラでどんどん削除された形跡あり。でも文句があるならMacに対応してほしいと思いますよ。)

「食品添加物の神様」の異名を持つ安倍司さんのお話です。食品添加物といわれるものは1300種類もあるそうで、普通のコンビに弁当でも普通に200〜300種類が使われているといいます。一つ一つは安全が確認されていても、組み合わせることによって発癌性物質になったり、あるとき急に発癌性が認められて使用禁止になったり、なかなか大変なようです。安倍さんはかつて食品添加物のプロでしたが、思うところあって職を離れ、以後添加物の情報公開を行なっている人です。その立場はただ無碍に「使うな」と否定するのではなく、その便利さや経済性をじゅうぶん承知の上で「こういうことなんですよ」と広くお母さん達に示そうというもので、そこのあたりがユニークです。「食品添加物の裏側」という著書がありますが、こうして実験付きのお話をきくと判りやす〜い。(でもその本も手元に置いておきたい一冊に違いありません。)1時間の動画で絵と音がずれていますが、お話は楽しいし、ネット以外では絶対にありえない、とってもいい番組です。削除される前にぜひどうぞ。(シリーズ第20回/収録2007年)



← これがその本です。

「食品の裏側——みんな大好きな食品添加物」
安部司著
東洋経済新報社/2005年10月刊
1470円

安倍さんは何年か前にビデオニュース・ドットコムにも登場しています。でもそのとき私は会員ではなくて、15分くらいのプレビューを見て楽しんでいただけでした。後になって見たかったと思ったものです。(バックナンバーはCDになって販売していますが、これまたWindowsにしか対応してないんです。まったく。)でも今日お話を聞くことができました。


「博士も知らないニッポンのウラ」は12月に最終回を迎えましたが、それはまだニコニコ動画に残っています。水道橋博士の司会で苫米地、宮台、宮崎を並べた「天才会議」。興味のあるMacユーザーはお早めに。

● ミランカ「博士も知らないニッポンのウラ」 現在公開中の一覧。Windowsをお持ちの方は正規版でどうぞ。シリーズ内ではすでに公開を終えたものもあります。モッタイナイ。

(追記:1月15日)やはり必要と思い、「食品の裏側」の紹介を加えました。

(追記:1月26日)福田伸一が狂牛病について語った「もう牛肉を食べても本当に大丈夫か」(ビデオニュース・ドットコム/2006年3月17日)が今しばらく再放送中です。有料サイトですが、他の再放送も新しい番組も見放題で月500円。おすすめします。

ブログ主のお店 KNIT-RIT FABRIC の宣伝 アメリカ版

See other gifts available on Zazzle.