お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2008年4月3日

本郷界隈〜上野

4月2日水曜日、高校同期のMちゃんとお昼に東大病院のドトールで待ち合わせ、本郷〜上野公園を歩くことにしました。東大の桜がみごとでしたので、まずはパシャ。



Mちゃんによれば「岩崎邸」へは近道があるそうです。病院の裏手にあたる場所の小さい門から裏道に出ました。「鉄門」と名前が書いてありました。東大医学部出身のお医者さんの「鉄門会」というのがありますが、この門だったのですね。もっと大きなごつい鉄門扉を想像していました。へえ‥‥‥‥。少し歩くと坂道があり、それは「無縁坂」。「しのぶしのばずむえんざか〜」というあの歌の「無縁坂」でしょうか。この塀こそ「岩崎邸」の塀でした。


坂を下って曲がってしばらく歩くとお屋敷の入口で、入ってさらに歩いていくと、木々の間からバナナ色の洋館が姿を現しました。ピカピカのバナナ色です。Mちゃんが前に来たときは建物全部に網がかかっていたそうですから、そのときペンキを塗り替えたのでしょう。ピカピカでした。

● 「旧岩崎邸庭園」のページ
● 杉村覚さんの「旧岩崎邸」のページ(室内の写真がたくさんあります。)

靴を脱いで中に入りました。木造の手の込んだ美しい住宅でした。家具を配置した部屋では、自分が小さくなってドールハウスの中にいるような気がします。寄せ木の床と金唐革の壁は部屋ごとに趣向をこらしています。金唐革(きんからかわ)は昔、たしか銀座の松屋で展覧会を見たことがありますが、皮革に型押しして彩色したオランダ渡来の技術です。それを住宅の内装で見るとは思いませんでした。というのは革かと思い驚いたからです。後でよくみると「金唐革紙」で、紙でした。今あるのは復元したものです。(資料)各部屋の壁一面に貼りめぐらした往時の贅沢に目がくらみます。多くの洋館に使われたといいますが、この屋敷を特徴づけるものでもあり、植物がモチーフの優雅な文様の数々と版木が展示されていました。


お手洗いも見せています。思わず盗撮です。だってこのお手水鉢、どうしてこんなに奥行きがあるんでしょう? 衣服を濡らさないためでしょうか。炬燵板くらいあるんですよ。2階の寝室わきにある洗面所の流しも奥行きが妙に深いのでした。古い建物を見る面白さの一つは、今ではあたりまえの物が、あたりまえの形になる前の姿を見ることです。それが本来持っていた自由な形を知り、自分の先入観に気づくからです。便器はデュシャンの「泉」のような形でした。(ちなみに岩崎邸は1896年、「泉」は1917年。)

同じように面白かったのは階段室の窓です。(上の写真の中央の三つ並んだ窓がそうだと思います。)窓の内側の右下には、黒い鉄の箱のようなものがくっついており、何やら回す取手(ハンドル)があります。そこから伸びる鉄の棒を目で追うと、一番上の窓枠と二番目との間で曲がって左端まで続きます。カーテンのハンガーのようですが少し違います。何だろうとブツブツ言っていると、階段上から係の人が教えてくれました。それは三つの窓の一番上の列だけを一度に開けるハンドルなのだと。そこだけが開閉できる造りだそうです。へえ。換気のためでしょうか。ではその開かない窓の一番下の桟を覆う金属板は何なんでしょう。もう色がかわって遠目にはわからないものですが、八つ橋ふうに丸みをおびて全体に水玉の穴があき、手前に開くような蝶番とつまみがついているのです。何なのかまったくわかりません。答えは今でいう結露対策だそうです。当時の贅を尽くした館ではスチーム暖房が入っていたため、外との温度差で結露が出るわけで、たれてきた露を受け止めるための仕組みだったのです。へえ〜。なかなか良い所に気がついたと褒められちゃいました。隅から隅までじっくり見たら、そういう面白いことが沢山あるのでしょうね!

岩崎邸を出ると不忍池はすぐ近くでした。今年は桜の花の若いときに雨が降り、それがどしゃ降りではなかったし、冷たい風が吹いても強くなく、そのために花が長いのだと思います。花は満開で、そればかりかほとんど散ってもいないのでした。ほんとにいい散歩です。上野公園は平日というのにたくさんの人で賑わっていました。



その後国立博物館で「薬師寺展」を見る予定でしたが、遊んでいるうち4時近くなり、閉館まで1時間しか見られません。門の前には混んでいるとの貼り紙も出ていましたから、後日に延期しました。(4月2日)

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