お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2007年10月3日

ジェムアート「縫いのシャツ展」


Yさんのお誘いで日曜日に原宿へ繰り出すことになり、原宿へ行くなら青山まで足をのばして、ジェムアートで開催中の展覧会を見に行けると思いました。先月買った「婦人之友」誌で紹介されていた「縫いのシャツ展」です。鹿児島市の「しょうぶ学園」が長年おこなっているプロジェクト(「縫いプロジェクト」)の作品を展示するもので、Yさんも興味を持ってくれたし、お買物やおやつの後に一緒に行きました。

雑誌に載った写真に、20年くらい前に見てそれはそれは衝撃を受けた「イギリスのニードルワーク展」を思い出し、とても期待したのです。ジェムアートの場所は根津美術館(工事中/閉館中)の向かい、ちょっと前のビルディング1階の洒落た一区画でした。

一歩踏み入れるなり驚きました。小さなギャラリーいっぱいの作品。中央に櫓(やぐら)のような枠を組み、ハンガーにかかったシャツが何十枚もぶらさがっています。もちろん壁にも棚にも椅子の上にもボディにも。

右の写真は上の案内状を拡大したもので印刷のツブツブが出て見づらいのですが、ある「シャツ」の右袖部分です。サラリーマンが着る普通のYシャツに思うままの針を刺し、1年を費やして刺して刺して縮んで歪んでガチガチ・ゴワゴワ、素晴らしいことになりました。多くの「縫い」の作品の中で、このシャツは一つの極限、終着点、そうした位置にあると思います。会場でも、最初に目に飛び込んだのがこれでした。

しかし全てのシャツが作者それぞれが好きなやり方で作った個性的な作品でした。殆どは大人が着用できる形をしており、伊達男が着たら素敵だろうなあと思う洒落たシャツがいくつもあり、いくつかは販売していました。(私には着れないし買えませんが、客観的に値段は安すぎると思いました。2倍くらいが妥当だと思います。)中には下書きの残った作りかけみたいなものもあります。誰もが才能あるわけではありませんし、始めて間もない人もいるでしょう。しかしどれも確実にいい「味」があり、上手くなりすぎた作品よりも私などは好感を持ちます。素材はどれも既製品や古着など質素なもので、糸も木綿、絹、毛糸‥‥‥‥なんでもアリです。しかし着物全部を刺した物凄くゴージャスなローブはアヴァンギャルドで、ハリウッドのパーディーで女優がイブニングドレスの上に着てもいいくらいですし、あるものは真っ赤なシャツに真っ赤な糸をフサフサに刺し、まるでアフリカの儀礼用の力強いファブリックのようです。はたまた「女子トイレ」「ラジオ(周波数と思われる数字が続く)」その他の文字列をシャツ全面にステッチしたものは真にシュール。いずれも色彩豊かで生命力があり、つくるよろこびの発光体みたいで、見ていると自分の中にズンズンズン♪‥‥‥‥リズムがわいてくるようでした。

(ここの部分はまだ上手く解説できないので今日は軽く飛ばします。後でちゃんと書き直す予定です。)

オリジナルの長袖Tシャツもたくさん販売していました。イラストや手書き文字をプリントして、所々に生地のアップリケ(のようなもの)があり、とても味があります。(真似したくなります。)Yさんはあるシャツがかなり気に入ったのですが、「アップリケ」した巾広のゴム(パジャマのズボンの)がどうもマズイと思ったそうです。私も一つ欲しくなりましたが我慢しました。実はその日は既に予算を超えるお買い物をしてしまったからです。後悔しました。

作品の数の多い展覧会では最初に目に飛び込むものと何度も見て回るうちにジワジワ見えてくるものとあります。額に入った作品に気がついたのはだいぶ後になってからでした。その額の中でも途中から見えてきた一つの作品に惹かれました。黒くて目の粗い網のようなものに白い糸を刺したもので、立体的な丸いモチーフがかもしだすやわらかな感じと妙に洗練された感じが不思議なバランスで混じり合って見えます。それを見ていると他の作品がすーっと後ずさって思えました。購入を決めてジェムアートさんに告げると作者名を教えてくれましたが、なんとそれは写真のシャツの作者と同じ「野間口さん」でした。テクニックも色彩もまったく異なるのに、やはり共通するものがあったんでしょうか。

この日は予約だけして、第二部が始まる9日以降に再び見に行ったときに受け取ることにしました。会期後半の第二部ではこうした針仕事のバッグが展示されるそうで、とても楽しみです。

ジェムアート 針仕事の素晴らしさは実際に見なければ想像もできませんが。
「縫い」のシャツ展 前半・9月15日〜10月7日/後半・10月9日〜28日(月休)

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブログ主のお店 KNIT-RIT FABRIC の宣伝 アメリカ版

See other gifts available on Zazzle.