お買物のはなし・新旧おりまぜスローにやります

2007年7月7日

大河原良子さんの個展


大河原良子さんの個展を見に行きました。鉄のアーティストです。作品は鉄と和紙で明かりを包んだ燭台を中心に、大小さまざまな形の蝋燭立てや火消しなど、明かりにまつわるものです。

私はこの和紙を使った燭台がとっても好きなんです(正直なところ「欲しいっ!」と思います。しかしもし私が所有できたとしたら作品がかわいそうなのです。)3種類あり、大きいものが高さ50センチくらいでしょうか。中には電球が入っています。いずれも異なる模様の鉄の質感と和紙を透かした柔らかな光が、なんともきれいです。木、石、漆喰壁といった自然な素材に映えそうで、和洋どちらの空間にも合いそうです。こざっぱりした居間や寝室の一隅に置いた場面を空想しながら溜息をつくのですが。また、もうふた回りほど大きい燭台を床に置いた所を見てみたくなりました。



和紙を使わない作品では、光と影の模様が周囲に広がります。いろいろな形のろうそく立てもありました。(一つ目と二つ目の写真には上手く写っていなくて失敗でした。)立てるだけでなく、上から釣るもの壁に取り付けるものがあり、そうした作品は燭台とは違い、数十年分の骨董や道具類が折り重なってごちゃごちゃした中にあっても似合いそうでした。(火を点したら危険でしょうけど。)また、将来古びて色が変わったり多少腐食したとしても、いい姿であり続けるのではないかと思いました。そんなふうに勝手な空想が楽しいんです。ところで、これら鉄の作品は昔ながらの鍛冶屋さんのように焼いた鉄を叩いて作るのだそうです。女の人がそのような仕事をする姿って、かっこいい!

こちらは銅でしょうか。折れた蚊取り線香もこんなふうに挟んで、明治のタコ唐草かリモージュの小皿にでものせたら、早く蚊が飛んでこないか待ちかねてしまうでしょう。先っぽには蝋燭をさすこともできそうです。ほら、値札が付いているでしょう? ほんとうは一つ欲しかったのです。

この展覧会は大河原さんご本人から案内をもらいました。面識はありませんが、友達の彫刻家M氏のアトリエに関わるアーティストの一人で、私もアトリエに出入りしていたことから私にもメールを送ってくださいました。大河原さんの作品はかねてよりアトリエに置いてある過去の個展の案内状の写真を見て憧れていましたので、(八王子はかなり遠いのですが)ぜひ個展でじっさいの作品を見たいと思ったのです。

大河原さんは作品の発表の場として、都心のギャラリーの、ある種理想化された無機質な展示空間よりも人の生活に近い場所を選ぶようです。ホームページで過去の展覧会を見ますと、毎回こんな場所が東京にあったのかと思うような、味わい深い場所ばかりです。(なんと私の地元でありながら初めて聞く石神井の喫茶店もありました。)そういう発表のしかたは作品にもう一つの表情を与えるように思えます。

今回の会場はパペルブルグという珈琲店でした。(これがまたすごいお店でしたから別項をもうけます。)事前にお店のホームページで住所と地図を写して持って行きましたが、八王子の駅で右も左もわからなくなり、交番で尋ねると「歩いて行ける距離では‥‥‥‥」と言われ、バスは1時間に1本だそうで、帰るわけにもいかずタクシーを奮発しました。1460円もかかりましたよ! しかしお店に着いて、まずは美味しいコーヒーでひと息ついているとあらぬ方向から声をかけられ、見るとMくんがいるではありませんか。なんという偶然。一緒に作品を見ることができ、帰りは車に乗せてもらいましたし、「タケノコ掘り」以来のお喋りをして、ほんとによい一日となりました。(7月1日)

大河原さんのホームページ

Beauty of calm light through the Japanese paper. Iron works with style by Ryoko Ohkawara.

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